創業以来六十有余年、作り続ける『筋子』。
その日の朝に枝幸で水揚げされた鮭の卵だけを使い、培われた匠の技を伝承しつつも時代に合った技術を取り入れ、最高の素材に向き合います。
真面目に、そして愚直なまでに取り組む姿勢は令和の今も変わることなく、他では出来ない『長期熟成筋子』を製造します。
素材の鮮度と品質の良さ、そして作り手の技無くしては、拵える()事が出来ないのは勿論ですが、最後に欠くことが出来ないのが熟成期間と言う時の流れです。
古来、冷凍保管技術の代りに生まれた塩蔵と言う技。保存の為に想像を絶する程の濃度で塩蔵することは、期せずして、熟成技法を発展することに繋がりました。 時間の経過とともにアミノ酸発酵が進み塩角(しおかど)がとれて旨味が凝縮され、お漬物に例えるならば『慣れた』仕上がりに生まれ替わります。
反面、この熟成期間は旨味とは引き換えに激しく目減りします。ウイスキーの熟成では『天使の取り分』と言いますが、ここ流氷の街ではクリオネの取り分なのかも知れません。
どれくらいの期間まで熟成できるのか、これは私たちの挑戦でもあります。又この期間を経過させる為の、製造工程すべに渡る衛生管理が必要不可欠となります。